3.11 ナブラの定義と勾配、発散、回転>
 
勾配(grad)、発散(div)、回転(rot)の次はナブラ()について見て見ましょう。
ナブラ()を意味不明の逆三角形として、見るだけで思考停止しないように、よくその意味を理解しましょう。
まず、ナブラの定義は次のようになります。
 
定義:
 
つまり、xyz方向のそれぞれの方向単位ベクトルにその方向の偏微分をつけたものです。この記号だけでは意味を持ちませんが、スカラー関数をf(x,y,z)としてナブラをつけると、
 
 
となり、勾配(grad)になります。
 
こういった式に作用する記号を演算子と言いますが、四則演算の+、−、×、÷も演算子とも考えることができます。
つまり、それだけでは意味を持たず、その前後の数字や式を伴って始めて意味を持つからです。
ここで、ナブラのような演算子には次のような決まりがあります。
 
演算子の作用:演算子と関数の順番を変えてはいけない
      :関数が演算子の右側にあるときは作用を受ける
      :関数が演算子の左側にあるときは作用を受けない
 
というものです。
これを偏微分で考えてみると、
 
 
となることはわかると思いますから、それほど難しいことではありません。
ただ、xyzいっぺんに作用するというところが戸惑う点だと思います。
 
そこで、今度はベクトル関数A(x,y,z)に作用させる場合を考えてみましょう。
 
 
ですから、ベクトルの演算になるので、つまりは内積と外積を考えることになります。
 
内積:
外積:
 
以上のように内積は発散(div)、外積は回転(rot)になることがわかります。
 
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