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コンピュータの種類
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−ホストコンピュータ−
ホストコンピュータは、汎用コンピュータとも言われました。日本で最初の有名なコンピュータとしては国鉄の座席予約システムであるMARS-101ではないだろうか? このシステムはコンピュータ関連の本には良く出てきており、日本で最初のリアルタイム処理システムでした。 これは1963年(昭和38年)に国鉄に納入され、他には全日空や東海銀行にも利用されました。
同じ頃にIBMのS/360が発表され、1960年代から1990年代はホストコンピュータが全盛の時代でした。
日本ではコンピュータ産業を戦略産業として保護しようとしましたが、1971年にコンピュータの自由化方針が出て厳しい状況を迎え、通産省はコンピュータ業界6社のグループ化に乗り出し、富士通と日立、日本電気と東芝、三菱電機と沖電気という3グループが編成されました。これは技術研究組合を結成し,1972〜76年に約570億円の補助金を受けました。
その成果は自由化の期限であった1974年にMシリーズ,ACOSシリーズ,COSMOシリーズとして発表され多くの日本企業で使われました。
ホストコンピュータは企業の会計、生産管理等で主に使われておりました。当時は解析業務に利用する良いコンピュータがなかったので、その一部を使い解析計算も1970年代、80年代にかなり行われておりました。
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1970年代のホストコンピュータ 富士通 FACOM 230-48
情報処理学会の「コンピュータ博物館」(http://museum.ipsj.or.jp/about/index.html)より
−スーパーコンピュータ(ベクター)−
スーパーコンピュータと言われる最初のコンピュータがCRAY-1であり、1975年に発表されています。CRAY-1は Dr. Seymour Crayが,1972年に設立した従業員400人ほどの小さな会社で作られたコンピュータで、米ロス・アラモス研究所,ベル研究所,国防総省などに10数台納入され,膨大な計算を要する原子力,宇宙開発に必要な構造解析,暗号解読など大型科学計算分野で威力を発揮しました。
CRAY-1 の計算速度は150MIPS で,当時最新鋭の IBM3033 の25倍もあったそうです。
日本では1980年に導入されています。
仕様は
・マシンサイクル:12.5ns
・演算ユニット:12個 (浮動小数点演算ユニットは3個)
・演算データ幅:64ビット
・ベクトルレジスタ:64語(1語64ビット)が8組
・主記憶:最大4MW 16バンクのインターリーブ サイクルタイム50ns
・演算速度:浮動小数点加算 75ns, 同乗算 87.5ns
であり、演算処理部分とメモリーが高速に接続されているのと、演算ユニットが沢山あって、計算処理を同時実行できる事により高速性能を発揮しています。
ドイツ博物館に保管されているCray-1
Wikipedia Cray-1より
http://ja.wikipedia.org/wiki/Cray-1
日本のスーパーコンピュータ
日本でも多くのベクターコンピュータが作られました。その代表としては
1982年 富士通 FACOM VP-100 250MFlops
国産では最初にベクトルレジスターを採用した計算機。
VP-200シリーズ、VP-400シリーズは、名古屋大学、京都大学等に納入
日立 HITAC S-810 630MFlops
大規模ベクトル計算機として開発された計算機であり、気象庁及び東京大学に
納入される。
1983年 日本電気 SX-1、SX-2 1.2GFlops
最後まで生産されたベクターコンピュータ。地球シミュレーターに採用される。
1980年代から日本の航空機産業、大手自動車産業の一部でベクターコンピュータが導入され、流体解析や構造解析で利用されました。 しかし、使われたのは先進的な利用方法で一般的な設計・開発に利用する状況ではなかった。
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富士通 VPP-5000 NEC SX-9
Yahooにて検索 2009年4月 東北大学にて
−UNIXシステム−
1970年代にUNIXが登場した当初は研究所で利用されていた。システム自身もUNIXが動くシステムはPDPやVAXであり、ベクターコンピュータの様に数十億円もするようなシステムではないにしても数千万円から数億円していた時代である。この為に一般の製造業の設計・開発分野では簡単には導入はできず、予算的に可能な大学や国の研究機関及び最先端の研究をする企業の研究所が多く導入していました。
しかし1980年代に中頃になりSUNがUNIXのOSであるSunOSを搭載したワークステーションを出し、HPも1980年代にHP/UXを出すと価格も数千万円で入手できるようになり、技術分野の計算機として瞬く間に広がりました。
また1990年代に入るとGraphics WSがUNIXをベースにして出され、WSシステムではGUIがXwindowsシステムになり、GUIベースのApplicationが作り易くなりました。この為に1990年代からはGUIを装備したPre/PostシステムがUNIX上で作成され、多くのユーザが解析業務でUNIXワークステーションを使うようになりました。
−Liunxシステム−
1990年代に初めに出てきたLinuxは、当初は
ベンダーのサポートがない
OSの設定、管理等が大変
アプリケーションがサポートされていない
等の問題があり、業務では見向きもされなかったが、
市販CPUであるPentium、Xeon、Opteronが高性能で安くなった事
LinuxのソフトウェアがUNIXの様に使いやすくなった事
アプリケーションがLinuxに移植され始めた事
があり、2000年頃から急速に解析業務で利用されるようになりました。
−Windowsシステム−
MircroSoftのWindowsシステムは1990年代中頃までは業務には使い物にならなかったが、1994年にWindowsNT 3.5が登場し、個人ユースとして1995年にWindows95が登場すると、CPUの性能も助けもあって急速にシェアを伸ばしてきました。
そして2000年のWindowsXPの登場により、技術計算のCAD/CAM/CAE等のGUIでのモデル作成等の業務では必須のコンピュータになりました。
これはLinuxと同様に
市販CPUであるPentium、Xeon、Opteronが高性能で安くなった事
WindowsのソフトウェアがUNIXの様に使いやすくなった事
解析、業務アプリケーションがWindowsに移植され始めた事
により2000年頃から急速に解析業務で使われるようになりました。
今ではサーバーはLinuxを使うにしてもPre/PostはWindowsを使うユーザが大半であり、ソルバーも大きなサーバーが必要ない場合はWindowsでソルバーを動かすユーザも多くなってきています。